つむじ風

座り込んだ私のことなど
知らぬ顔の夜の街
待ちつづけたあなたの電話
いちども鳴らずに朝が来る
小さすぎる私の姿
あなたの眼にも映らなくなった
   存在の薄さを引きずって
   私は街角のつむじ風に
   花びら一枚 舞わない弱さで
   気づく人すらいない風
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夜の街 笑顔の人たち
みんな ほんとにシアワセかしら
つくりわらいの仮面を どこか
捨てる場所はないですか
友は私を置き去りに
時に流され大人に変わる
   存在の薄さを引きずって
   私は街角のつむじ風に
   花びら一枚 舞わない弱さで
   気づく人すらいない風

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春よ来い

いらない物が多すぎる世の中で
物の豊富な世の中で
愛と安らぎはお金で買えない
なんでも与えてくれた親は
愛と安らぎを与え損ねた
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あなたが与えた愛と安らぎは
形無き言葉のアンバランス
あなたが与える優しさと気遣いは
私の心を荒立たせ
疲れるだけの不良品
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   春よ来い 早く来い
   心のなかに花よ咲け
   風よ吹け 花よ舞え
   土へと帰るその前に−
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飢えた野良犬 夜道をさまよう
朝になればまた「いらっしゃいませ」
心隠して笑顔であいさつ
何百回と頭を下げても
誰が与えるはずもなし
あああああああああああああああああああ
   鳥よ飛べ 高く飛べ
   春一番よ早く来い
   鳥よ鳴け 声高らかに
   私の中に春よ来い

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ビデオ屋さんに来てごらん

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朝目覚めてカーテン開けると
久しぶりの雪だった
せっかくの休日なのにと
ふくれっ面の Your birthday
起こしてしまったあなたとふたり
ベッドの中でTVを観たの
ブラウン管には喪服の人々
有名だけど会ったこともない
赤の他人の葬式だった
こんなときに不謹慎かなとつぶやいた私に
笑ってあなた こう言った
   レンタルビデオ屋行ってごらん
   昨日から超満員
   誰もがこんなTVなんて
   目障りなだけの代物で
   悲しんだふりしてるのは
   老人と腹黒い馬鹿だけさ
    ビデオ屋さんへ行ってごらん
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昨晩遅く入ったときは
借り物だったこの部屋も
一晩たてば離れがたく
19年前 あなたが生まれた時間に
都会では霊柩車 動き始めた
街中は店を閉じ
走る車も数少ない
こんなときにドライブなんてと不安顔の私に
笑ってあなた こう言った
   スーパーマーケット行ってごらん
   今ごろきっと超満員
   誰もがお菓子買い込んで
   家族揃ってビデオに夢中
   悲しんだふりしてるのは
   老人と腹黒い馬鹿だけさ
   スーパーマーケット行ってごらん
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TV局のアナウンサー
日本中が悲しんでると嘘を世界に流すなんて
とても迷惑なことなんだ
もっともっと真実を ほんとのことをしゃべってよ
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腹黒い馬鹿なお偉いさん
ビデオ屋さんに来てごらんーーーーーーーー
見え透いた演技なんて捨ててさ
ビデオ屋さんに来てごらん

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チビダヌキの叫び

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神様が人間なんかを造ったせいで
僕たちの住む場所が減っていく
仲間たちは次々に死んでいき
竹やぶの中からかすかに見える
月に向かって僕は泣いた
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僕たちが望んだものは 太陽と水と森
ただ それだけなのに・・・
人間が造った核のせいで
人間たちが造った原子力のせいで
どうして僕たちまで死ななきゃならないの?
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   神様 どうか殺すなら   
   人間だけを殺してください  
   そして神様 壊すなら
   人間の造ったものだけを・・・

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大 地

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桜の花びらも舞い散らず
セミすらも近寄らぬ
氷の家が生まれ故郷
父との縁は断ち切られ
姉妹の縁は薄れゆき
母とふたり 古びたアパートに住む
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一日中 そばを車が往来し
上の住人は毎日子供を泣かせ
テレビの音すら満足に聞こえず
窓ガラス ガタガタと震え
鳴るはずもない電話を待ち
来る人もないドアを眺め
知る人もない雑踏の中に住んでいる
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悲しみと寂しさは
誰が手を貸すはずもなく
誰が代わるはずもない個人の荷物
悲しみと寂しさと
考えることを与えた神を憎み
それでも
この指が自由に動き
大地を歩く足があり
五体満足な身体を感謝せずにいられない
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生まれ故郷は私を迎えず
生まれ故郷は笑顔も見せず
足蹴にされて 放り出され
一点の灯りも見えぬ闇夜の世界
私は永遠の旅人となる
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それでも踏みしめる大地がある限り
旅人は歩き 叫びつづける
ーーー −私は生きている
ーーーーーーー私はここで生きている−

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